実例・チップの渡し方

お金持ちって、、、お金持ちって、、、。
本当に自分の確固たる価値観に従ってお金を使うのね。
本日お帰りになったイギリス人のご夫婦の実例。
5日間ほど滞在されていたので毎朝(朝は私しかいないので)、
お2人がビュッフェのあるダイニングに降りてくるや
「オハヨウゴザイマス。お紅茶ですね、すぐお持ちします。」と対応していた。
その他は申し訳ないほど特別なサービスはしてなかった。
そして旅立ちの本日もいつものように紅茶を運び、
その後は忙しさの中で「メルシー」もいえないままにいつの間にか席を立たれていた。
私の仕事は「朝食のみ」とは名ばかりで、
11時の朝食ビュッフェの撤去からバックオフィスでのかたづけ、
レジ閉め、会計あわせから翌日の食材、備品調達、、等を全部一人でやったあと、
客室ミニバーの点検・補充やVIPのウエルカムドリンクのセッティングなど、
「朝食」とは関係ない仕事が金魚のフンみたいに際限なく続く。
とりわけ今日は夏時間になったせいか、
レジのシステムがおかしくなり時間をとられてしまった。
(「日曜日」なのでシステム担当者はお休み。こういう場合も月曜日をひたすら待ちます(笑)。ニホンではありえない。)
そのため、ミニバーの補充に客室に向かうのが大幅に遅れて13時頃になってしまった。
するとちょうど先の老夫婦がお部屋から出てきてお帰りになるところに出くわした。
「メルシーボク。オールボワール。ボンボワイヤージュ。」と笑顔で見送った。
実はこのご夫婦はしっかりスーパーでお水のペットボトル(しかもノンブランドの)を
調達しておりミニバーには手をつけていなかった。
「一番高いランクのお部屋で長めの滞在。でもお水はきちっと用意か、、、。
本当にお金持ちって経済観念がしっかりしてるな、、」と密かに感心していた。
(確か初日に「このホテルの朝食はどんな内容でいくらなの?」と確認されたのを思い出した)
そんなこんなでミニバーの後もいろんな業務が14時まで続き、
レセプションに出入りしていたところ、先のご夫婦とまたすれ違った。
そのときご婦人が「ア!あなたに渡したいものがあるのよ」と同時に
Gジャンのポケットからパッと20ユーロ札をくれた。
もちろんポッケから手の中に小さく収めて、すばやく私の手の中に。
用意してたの?
それともマジシャン?
その手さばきがあまりに早くて、あまりに用意周到で、
そしてあまりにいつもチップをもらうようなタイミングじゃなかったので、
それより何より自分がたいしたサービスをしてなかったので「えぇぇ?!」ってビックリ
ミニバーのペットボトルを節約するようなご婦人が、私に20ユーロのチップ、、、。
ケチと節約の違いをこうもはっきりと教えてくれるとは、、、。
お金持ちって本当にお金の使い方が上手です。
そしてチップの渡し方も上手です。
彼らはいつも自分の価値観、哲学に従った金額を彼らのタイミングで渡す。
そんな彼らのチップは暖かくて激励や感謝の気持ちがビシバシ伝わってくるのです。
こういう渡され方はたびたびあって、
ずっと私に渡したいなぁと思っててくれてたのかなぁ?と
思わせてくれること自体がすっごくうれしいと思いません?
こういうステキなチップの渡し方って「美マダム道」にも通じると思います。

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